小中と美術の時間が好きだった。
得意でもあった。
よく全校朝礼の時に賞状を貰ったものだ。
努力したつもりはない。
ただ好きだった。
その頃からだいぶ経って高校3年の時に美大予備校に入った時、自分より上手い人が山ほどいる事を知った。
正直に告白すると、イラストレーターで20年以上やっている今でも、自分はあまり絵が上手くないと思っている。
俺、本当に絵を描くことが好きなのかな?そう思う事も多い。
ところが今日、子供の授業参観で美術室に入った瞬間、大好きだった美術の時間がどうっと心に流れ込んできた。
誰にも負けないプライドがあった感覚も、小学生の頃にできなかった繊細な指先の動きが中学に上がってできる様になっていた喜びも思い出した。
だが当時の僕は、好きなことが自分の才能だとは思っていなかった。努力することが才能だと思っていたのだ。
自分の才能を見つけることは難しい。
僕は好きな事が、たまたま学校の教科にあっただけでも恵まれていた。
今の社会では一見役に立たない、金にならない才能だって沢山ある。
でも、どうかそれを見つけ出して大切にして欲しい。
目の前の子供たちを見ていると、そう願わずにいられなかった。
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