ネタバレが含まれていたり、個人的な感想を不快に思われる方もいらっしゃるだろうから予め断りを入れておきたい。
僕自身は他のサイトであらすじを読んだだけで解説等は一切目にしていない。
さて、本作は叙情的な映画であり決して分かりやすく面白い映画ではなかった。
セリフも極端に少なく、主人公の設定が曖昧なまま物語が進んでいく。
そこで映画中の少ない台詞からリアルな設定を想像してみると…
主人公の平山の家は資産家であり、きちんとした高等教育も受けている。長男で期待された彼は父に厳しく育てられたが、軽度の発達障害を持つ性質により父と激しく衝突し、勘当され大学を中退して家を出てしまう。その後父の後を継いだのは結婚した妹の婿といった所だろうと思う。
役者自身の余裕と存在感に騙されてしまって、主人公はゆったりとしたミニマルな生活を充実しているように見えてしまうのだが、本来彼の性質や生い立ち、生活にはだいぶ暗い影と苦悩が滲んでいるはずだ。
そんな彼には誰にも侵されたくない毎日のルーティンワークがある。長年かけてやっとたどり着いた彼自身の平穏な毎日だ。
しかし彼の生活を周りは放っておいてくれない。無口で知的な彼は意外と女にモテるのだ。
だがモテてもそこまでで良い。もう一歩踏み出さない。あくまでも平山は今のパーフェクトデイズを守り抜きたい。
ぼろアパートとスカイツリー。
暗く湿った浅草地下街と明るい地下鉄入口。
アナログツールとスマホ。
平山の質素な生活と妹の運転手付きの生活。
全てが対比として描かれている。
果たしてどちらが健全なのか。
平山目線で描かれている映画からは、我々のあくせくした社会の方が、目も眩む明るさで病んでいる様に見える。
そして対比された社会の中でも、小さな満ち足りた生活を守り抜くことしかできなかった愚直さ故の美しさ豊さという本作品のシリアスになりがちな主題を、役所広司という役者のたっぷり感そのものが、上手い具合にファンタジックなオブラートで包んでくれているのではないだろうか。
だからこそ何だか伝わりにくい。でもそれでよかったとも思う。
ついでにいうと、どちらかというと僕も平山側の人間だということが確認され共感を得られた。それは少し寂しい発見でもあったが…
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朝霞の住人 (日曜日, 23 2月 2025 19:34)
こんばんは。
私もたまに1人で映画鑑賞します。
直近は、昨年12月のドクターX。
このシリーズは好きなもので。
私自身は失敗ばかりだけど、この映画の主人公は失敗しないんで。
あー明日は仕事。
完全週休2日制という名の奴隷制度だよ。
はしもと (日曜日, 23 2月 2025 20:57)
ドクターX…知りません。すみません。
色々取り残されているのです。
でもさ、成功するまで続ければ失敗というものはない。というじゃないの。
へへへ、俺は毎日が日曜日だから。
しかし今日も子供にご飯作ったり確定申告書類作成、追加ラフ作成、本番修正、掃除、風呂洗い、お布団干し…日曜日も仕事とも言えるがね。