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死の影

母方の祖母と伯父が夢枕に立った。

 

珍しい事なので久しぶりに墓参りに行ってみると、脇に立っている墓標が気になった。読んでみると、僕の曽祖父に当たる人からの名前が彫ってある。

すると驚いた事に、今まで聞いたことが無かった母の兄弟の存在を確認する事が出来た。終戦前後の事だが、男の子ばかりが3人も無くなっていたのだ。

 

また同じころ祖父は妻も亡くしている。

そうやって亡くなった人たちの時系列を追っていくと、生まれが説明できない子供が二人ほどいる事も発見した。

昔の事なので墓標などいい加減なものかもしれないが、はたして養子か双子か、僕に伝わっていない影がある様な気がして胸騒ぎがした。

 

母に聞いてみるも、「よくわからない」と曖昧な返事しか返ってこない。

 

思えば母の実家は昔から暗い陰のある家であった。

子供だった僕はそれが気味悪かった。

今までは片田舎の土地柄のせいかと思っていたが、実際は死の影とそれを隠匿せざるを得ない雰囲気が家庭を覆っていたのだろうと思う。

 

しかしあまり根掘り葉掘りした所で出て来るのは疑いと悲しみだけであろう。祖父の悲嘆を今まで想像した事もなかったので、それを知る事ができただけでも大きな収穫であった。