· 

鈍感力

散歩して空に冬枯れた梢を見上げる時。

 

枝の先から孤独が世界に繋がっている様な。

 

ぎゅっと縮まった心の酸っぱさが、黄昏の青のグラデーションに滲んでいくような。

 

若い頃はそんな独特な感情が心に芽生えたのを覚えている。

 

若い頃は感性が鋭敏で苦しかった。

 

今はその残滓を感じるだけだ。

 

歳をとると感じる事が出来なくなる事も多いのであろう。

 

しかし、僕自身としては鈍感力が増して随分と楽になった気がする。

 

惜しい気もするが、これでよかったとも思う。