散歩の途中に寄る寺の境内に長い階段がある。
長い階段を上りきると背の高い塀があり、雨が降ると日陰になった塀の下に水たまりができる。冬の寒い時期にはその水たまりが凍り、夕方まで溶けずに残っている。その凍った水たまりを踏んで渡る時。
毎夏子供たちを連れて、父の郷里である長野の諏訪にある霧ヶ峰キャンプ場に行く。
キャンプ道具を車から降ろし、車を隣接した駐車場に移した後、駐車場からキャンプサイトまで一人とぼとぼと歩いて戻る時。
「またここに来ることができた。」
近年、何故かしみじみとそう思う。
どうやらこの二つの場所というのは、僕にとっての自由の象徴であるらしい。
つまりはイラストレーターを続けられている事を再確認する事ができるセーブポイントの様な場所だと感じているらしいのだ。
だから、実に実にささやかながら、今年もこの二ヶ所のセーブポイントにたどり着きたいと切に願っている。独立したイラストレーターとして。
それが僕のささやかな抱負だ。