二十歳の誕生日に母に始めて買ってもらった時計がロンジンの手巻き時計であった。
モニュメントという1940年代の時計を復刻したスモールセコンドモデルで、若いのにかなり渋いセレクトだったと思う。
そういう経緯もあってか、どうも手巻きの時計が好きなのだ。
自動巻き時計は、はめている限り動き続けるので、機械式という事を忘れてしまう。結局クオーツと一緒じゃねえか?と思えてしまう。
一方、手巻きは暇な時にジーコジーコと巻くのも楽しい。
そして5振動が似つかわしい。
件のロンジンは主ゼンマイが切れてしまって机の中で永い眠りについている。
大学生の頃、時計はこれ一本だったので、ワンゲルで南北アルプス縦走をした夏合宿にもして行ったし、CB750fourに乗っている時もはめていた。
今ではたまに取り出して、若い頃の思い出に耽る装置に成り下がっているが、中にはそんな時計があってもいいと思う。
初めて求めた物というのは、存外にその人の趣味嗜好が本質的に表れる傾向があるのではないかと思う。
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