タッチなどいらん

先日納品したイラストを担当の方が非常に気に入ってくれて、丁寧なメールを頂きました。

僕も描いていて楽しかったし、こういう場合は迷いがないので短い時間で完成する。

 

でも。

でもなんですけど、この絵は一切僕のタッチを出しませんでした。

実はこういう事はよく提案したりします。変に個性を出すとデザインにまとまりが無くなりそうだったり、いやらしくなりそうな時は、一歩引いて自分の個性をあえて消す。これ、個性が売りのイラストレーターとしては提案するの結構勇気がいるんです。だって、自分の過去のタッチを気に入ってくれて依頼されている部分を反故にするわけですから。

 

何時ぞや、いたずら書きみたいに自然と出てしまうのが本当の個性というものだと安西水丸が仰っていました。

最近はそれがよく分かるなあ。

どうやって描いても結局俺の絵なんだし。

篠崎三朗さんにも「いつも壊していけ」と言われたけど、つまり同じ事でしょう。

仕事でいつもと違うチャレンジをやれる勇気と説得力がないといかんわけでしょうな。

これが絵を仕事にしていく上で一番難しい事です。