イボタロウ

イボタロウという蝋があります。いえ、決してイボ太郎ではありません。

これは、イボタロウ虫というカイガラムシの一種が分泌する液体を精製して作られた蝋だそうで、抽き出しの滑りだとか、家具のつや出しとかに使われる天然のワックスなのだそうです。僕も名前だけは知っていましたが、具体的に調べたのは初めて。(ちょっとキモイけど、楽器とか家具の事を調べていると虫関係の塗料など必ず出てきます。)


カイガラムシというのは益虫で、中でもラック虫が出す分泌物は、シェラックニスという塗料の原料になるので有名です。楽器などに使われ、たぶんストラディバリウスなんかにも使われていると思います。

家具の塗装にも使われていて、ペンキ屋だった父もステインで着色した後に、ラックニスを塗り、その上にニスを塗って仕上げていました。これは、油性のステイン剤が同じ油性のニスで溶け出すのを防ぐ為です。


また、木蝋という蝋もあります。これはハゼノキから抽出するのだそうです。和蠟燭の原料らしく、「そういえば」と机の底に眠っていたお土産の和蠟燭を思い出して、表面を削って算盤の枠材に塗ってみた所、蜜蝋より手触りが硬質で、なかなかいい感じでした。


虫から取れるものなんて、ちょっとウゲェ!ですが、安価な石油製品に代替されてしまった今、実際使ってみると、その微妙な使用感の差異が使う人の感性に訴えかけてくるのもがあり、長い歴史の中で培われた理由があるんだなあと思います。

イボタロウ・・・高いけどね。


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コメント: 2
  • #1

    かす (月曜日, 06 4月 2015 14:21)

    自転車のグリップエンドの止め方でヘンプ巻ってのがあって、それは懐かしのコットングリップテープの巻終わりをヘンプ糸で止めて、最後にシェラックニスで固めるっていう方法。虫が原料ってのに引かれるよね。古いランドナーで試そうと思いつつ、未だに実現してないけどね。

  • #2

    はしもと (月曜日, 06 4月 2015 16:41)

    かす様
    そんな使い道もあるんですか。
    機械式時計のガンギのルビーを固定するのもシュラックだそうで、アルコール系なので、油の影響を受けないために使われているのでは??と思います。
    グリップも手の油で溶けないようにとか?もしくは、昔は合成塗料の質が悪かったのかもね。
    考えてみれば絹糸とか蜂蜜も虫の分泌物ですから、なんかちょっと変な感じですよ。