谷崎の「鍵」に、前後不覚になった妻に医者がビタカンフル剤を注射するシーンがある。
注釈には「ビタカンフルは犬に樟脳を経口摂取させ、その尿から作る強心剤」といった様な事が書かれていたので、興味が湧き調べてみた。
しかしなかなか出てこず、いい加減な注釈だ。と諦めようとした時に古い学術論文を発見した。
読めば確かに犬の小便から作られたらしい。
しかし何より驚いたのは、読み進め、最後のページに自分の名前が突如現れた事だ。
一瞬医療関係のイラストで自分がこれに関係していたのか?と過去を振り返ってみたのだが、そんな訳もなく、ただの同姓同名の別人の寄稿した一文であった。
興味が湧いた案件に意図せず自分の名を見つけると、運命的でもあり少々狼狽して脳が混乱する。
件の橋本豊氏は日本薬剤師会会長だった方の様だ。偉い人なんだな。
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