獣臭

下の親知らずが微妙に肉を被っている。完全に生えきっていないのだ。

だから丁寧に歯磨きしてきたのだが、最近、その中途半端に頭を出している親知らずの歯茎の隙間をフロスピックで掻き出す事にしている。

大概何か出てくるから。

で、汚い話だが、それが非常に臭い。

しかもただ臭いのではなく、獣臭なのだ。

何度掃除しても毎回獣臭。

このしつこい獣性はいったい俺の中のどこからやって来るんだろう?

そう思うと早く親知らずを引っこ抜きたくなるのだが、一方、それが研究対象でもあるように、毎回ちょっとした期待と失望の入り混じった気持ちで獣臭を探している自分がいる。