金儲けできないと思われているのが、まず問題

ヨータの通っている造形教室に、とても才能のある女の子がいます。

小学校二年生で、最初は油絵にその才能を認めました。そこから課題ごとに注目しているのですが、とにかく大胆さがあって空間のセンスがいい。作品が並んでいるのを見て、いいな。と思って「これ誰の?」と聞くと大概彼女の作品です。

ヨータの作品も良いんだけど、気分にムラがあるんです。いい時は凄くいいのに、気分が乗っていないとただの悪戯書き。だけど彼女はいつも楽しんで良い物を作ろうとしている姿勢が感じられます。

 

これがスポーツや音楽だったら、すぐにでも専門家や学校に通わせて将来を嘱望されるのでしょうけど、こと絵に関しては先への繋がりが全くと言っていいほどありません。

小さい頃からデッサン教室に通ったからといって、将来優れた画家になれるって事もありませんし、逆に形に囚われてしまうことにもなり兼ねない。

 

「貧乏して血反吐を吐いて発狂して耳を切り落としてそれでも描いて、でも結局自殺して、死んだ後に評価される。」世間の画家に対するイメージって今でもこんなもんですよ。

結局ね、自分たちと同列に並べたくないんです。「あんなに自由にやっている奴は金なんかどうでもいいはずだし、やっぱちょっと頭アレだからさ。」って思いたい。実際そういう画家は人気があるしね。

僕はこういう化石イメージと、絵でお金儲けできないシステムが子供の才能を潰しているんじゃないかなあ?といつも思います。

ほんと、サッカーとかピアノだったら将来が凄くイメージしやすいのになあ。

 

ただ、絵を描いて生活している先輩から一言言わせてもらうと・・・

イラストレーターは金持ちにはなれないかもしれないけど、なんとか一家4人を養えるし、郊外の小さな庭付き一戸建てのローンも組めるし、中古だけど車もある。借金もないし税金だって滞納していない。ましてや満員電車に乗らなくてもいいし、口の臭い嫌な上司もいない。土日も仕事だけど家族といつも一緒にいられるし、事によっちゃ毎日昼寝だってできるんぜ。それに血反吐も吐いていないし耳だってちゃんと揃ってる。まだ当分自殺するつもりもないしね。

どうだい?

絵を描く仕事ってそう悪くないだろう?

(でもやっぱ夢がないか・・・)