それは村上春樹的な喪失感

残されたのは突然電話の回線が遮断された時の様な持って行き場のない静寂だった。完全な静寂だ。僕は凡庸さを具現化した様な色合いのプラスティック製の受話器に耳を当て、遮断された会話を巨大なリールで海底から懸命にサルベージしようとしている船員のような気分だった。

 

彼女が去ったあとに残されたのは5月の晴れ渡った完璧な空と退屈な僕の日常だけだった。

僕は部屋に戻ると冷蔵庫を開けて缶ビールを飲んだ。

やれやれだ。

 

 

 

7日と8日の様子。

あっという間でした。

やれやれ。